オ・
ザール・マジャール書店は、ルクサンブール公園からサンジェルマン大通りに向かう散策コースに位置するオデオン座の右横角にある。左右のショーウインドー
に美術書が目一杯に飾られ、一瞥してすぐに美術専門書店と分かるが、近づいてショーウインドーを見ると、真新しい書籍も混ざっており、古書と新刊書の双方
を扱っている美術専門店、という印象を与える。
パリの古書店を巡り歩いていると、白髪が混じった初老かそれを越える年代の男性が、店内奥の机にじっと向かっている光景が多いが、店長のシルヴァン・デルブ氏はまだ30歳代とおぼしき若さである。
店内
開店の年を尋ねると1998年と答えるから、14年ほど前のことである。おそらく父親の店を継いだ2代目店主なのだろうと想像した。ところが話を聞いてい
るうちに、本人が開店した模様である。そこで改めて年齢を聞くと、「39歳」という答えである。すると25歳で店を開いたことになる。
シルヴァン・デルブ店主
そんな若さで独立できるのかな、と不思議な思いがしたが、その表情を読み取ったのか、開店までの経緯を語ってくれた。
一押しコーナー
父親も古書店経営者で、現在でも近くのオデオン通りで古書店を営んでいる。このため幼い頃からパリ6区の美術界と書籍に囲まれて育ち、高校を卒業した19歳から骨董街サントゥーアンの古物・古書店に勤務するなどで書籍販売業の経験をつんだ後に、この店を開いた。
なるほど、本の町の神田っ子ならぬ、今時、珍しい生粋のカルチェラタンっ子だったわけである。環境に恵まれていたから、二十代半ばの若さで一本立ちできたのだろうと理解した。
「自分が選んだものを一般客でも手が出しやすい価格で販売する美術専門の古書店を造りたかった」と出店した理由を話す。
一押し本はショーウインドーに飾るか、目立つように特別ケースに入れ定期的に入れ替えているが、それ以外はあえて推薦はせず、顧客が店内を自由に物色して
もらっている。
イタリア絵画コーナー
扱い書籍は、自分の好みを反映して現代アートとイタリア美術の2分野に力点が置かれているが、取り扱い書籍は1950年
代から現在までに発行されたものを主体に幅が広く、各項目別に200~300点を揃えている。フランス語だけでなく、ロシア語、イタリア語、日本語の出版
物もある。
日本コーナー
力点を置く分野の1つであるイタリア関連を見てみると、確かに充実している。コレジオ(Correggio。
1489~1534年)、ミケランジェロ(Michel Ange。1475~1564年)、パラディオ(Andrrea
Palladio。1508~1580年)、ティティアン(Titien, Tizano
Vecelio。1488~1576年)、ロレンツォ(Lorenzo Lotto。1480~1556年)、ラファエロ(Raffaello
Santi。1508~1580年)などイタリア・ルネッサンス盛期の16世紀の画家関連の書物が多いが、ルネッサンス幕開け時代のジオット
(Giotto。1266~1337年)とチマブエ(Giovanni
Cimabue。1240~1302年)、彫刻、修復、建築、音楽など、時代と分野でも幅広くイタリアを網羅している。
立地の良さもあって顧客の多くがフリーの一般客で、パリ首都圏、フランス国内、国外からが3分の1づつの割合となっている。 一般客に加えて大学教授や研究者、衣裳や舞台セットを調べる演劇・映画関係者など常連客も多い。美術書愛好者の間では、パリを訪れたら必ず立ち寄る美術古 書店の1つにもなっているようである。 ルクセンブール公園
「自分が提案したものをお客さんが購入してくれるのが嬉しく、書店経営の悩みはあまりない」と屈託なく笑う。ストックは店内に3,000点、地下倉庫に2,000点、合計5,000点だが、仕入れと販売がうまく回転して、常時、約5,000点で安定している。
「オリジナル性が高い、選択が鋭敏、品質が高いものを手ごろな価格で販売していくなら」との条件つきで古書店の将来にも楽観的である。
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